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Baldo & Beate
…………べあて。(突如切り替わった視界に一瞬だけ思考が混乱して、すぐに己の家だと思い出す。必要最低限以外の家具が存在しない小屋には寝台とて一つしかなく、近頃はたとえ嫌がられたとしても大して気にせずに自分も横たわったベッドに子どもを引っ張り込むのが夜の過ごし方だった。彼が眠れるまでは髪をずっと撫ぜて、寝息が聞こえれば幼い体躯を腕の中へ仕舞い込んで己も目を閉じる。この日も腕の中に収まっている筈の者の名を呟いて、眠気を強く宿した双眸を下方へ向ける。子どもの右の耳に刻まれた、我が手で刻みつけた、愛と呼ばれる呪いの鎖を求めて。赤子の足には健康的に五指が揃っていたが、夢の中で垣間見た過去の映像は脳裡にはっきりと浮かび上がっている。何時も日々見てきた色彩に紛れてすっかり忘れていたが。一度思い出した以上、あの色を自分が間違えるはずが、ない。)ベアテ。
└ベアテと呼ぶその一度目と二度目の感じが何ともいえず…
……や、らなく、ちゃ……(唇からこぼれ落ちた言の葉は誰かに届くのか、誰かと言わずとも腕に包み守り育ててくれる彼が居ることを幼子は理解していた。彼がいるからこそ逃げ出そうとも諦めようとも思わない。縮こまって動くのをやめようとも思わない。失敗をしても後ろで待って居てくれるから、彼のために出来ることを―自分のためにも出来ることをやらないと。)
└彼の為にも、自分の為にも、そう頑張ろうとするベアテくんが健気で…!
(逃避を禁じたのは、向き合えという意味ではなかった。立ち向かえと、籠めた意図にはまだ幼き童は辿り着けていない気がする。眠りを妨げてしまった事に気付いて小さく眉尻が下がり、ごめんねと囁いて夢の淵に浚われてしまいそうに朧げな眦に顔を寄せた。)
みたいって、自分のことなのに他人のことみたいです。(またという言葉に違和感をおぼえたけれど、不自然だと指摘するほどの確信にまで至らない。寧ろ、わからないことだらけの自分とは違い全てを見通しているような彼が、みたい、みたいと推測を語る姿が可笑しくって、くすくすと喉を震わせて微笑む。此処に来てから随分と血色のよくなった頬を更に赤らめて近すぎると敬遠した―今では当たり前の距離の彼へ、頬擦りを返した。)大げさだけど、…嬉しい。僕もバルドさんが好きです。バルドさんが僕がここにいてもいいって、そうやって伝えてくれるから、もっと頑張らなくっちゃって思えます。
└二人の心の距離が近くなってきたのが分かる微笑ましい光景ですね。
……すこし、"友達"がかわいそう。僕だったら、誰かが…バルドさんが傍にいるっておもうと、うれしいのになぁ。
└ベアテくんはときどきこういう相手がはっとすることを口にするなあと…怯えつつもしっかり自身を取り巻く物事と向き合っているあかしなのではないかと思うのです…。
Emmanuel & Philomele
「……こちらへ……、来ては、いけません。」
└のちに続くロールにもあるようにはじまりの朝を彷彿とさせる台詞と、闇夜に消えてしまいそうなエマさまがとても儚くて印象的でした。
…………エマ…………?(血の気のない青年の唇から落とされた言葉を、それが意味するところを瞬時に理解することは出来ない。双眸は一心に、温度すらなくしたような暗く深い海を見つめて揺れる。繊細なおもてがひずむのを認めたとき、これまでのどの瞬間よりも眼前の距離を手繰り寄せることに躊躇いは抱かなかった。夜明けを待つ静かな小屋に、軽い足音が響く。)……どうしたの?エマ、悲しいの?……なぜそう思うの?僕がそれを聞いたら、もっと悲しくなる?(言い付けを破ることなど、普段ならばあり得なかったろう。青年の元へと駆け寄ったのなら、惑うことなく細い指先を両手で包み込もうと――それが叶わずとも、そばにあろうとするのは変わらない。次々紡がれる問いかけはいつもの 朗らかなそれらとは違い、穏やかながらも切に迫るような声音をしていた。知らぬうちに肩から落ちた毛布が、暗い床の上に転がっている。)……エマ。エマが死神でも、わざわいでも、僕はこわくないよ。だからエマもこわがらないで。(おそろしい夢など頭のすみっこに追いやられ、柔らかに細められた瞳は青年を映し出す。消え入りそうな青白いかんばせ、ただそれだけを。)
└この透明感をご覧ください……この、天使のように清らかな姿を……是非このシーンを映像化して大画面で見せてほしい……。
「触れないでおくれ……“ぼく”はきっときみを殺してしまう。また殺してしまうだろうよ。きみの――……きみが、……死んでしまうのはいやなんだ。いやなんだよ。でも、……ぼくはきみに傷をつけたのだ。顔色ひとつ変えずに、きみに……そんなおそろしいことを。」
└本来のエマさまのお姿が垣間見えるような揺らぎにぐっと胸が切なくなりました。守りたい…。
「……ねえ、エマ。僕ね、エマにころされちゃうって思えないの。エマがどうしてごめんなさいって言うのかわからないの。だから、いいよって言いたくても、ゆるしてあげられない。……でもね、エマをこわがらせるものは、僕がぜんぶ消してあげる。それが僕なら、すぐにだいじょうぶになるから。――もう少しで思い出せそうなの、あるべきところ。僕ね、きっとそこに帰らなくっちゃ。だって、“姉さん”のためだもの。」
└尊い……といった傍からこの発言には「それだけは絶対ゆるさんぞ」という気持ちでいっぱいでございました。
――手を……放して。(言葉だけは拒絶に近かった。しかし突き放すような物言いでなく、声自体は掠れていたが、常のエマニュエルのように静々とした響きがある。望みが叶えば胸元にある小さな頭を手前へ寄せて、そうっと抱こう。腕で包むようにして。)わたしがこうやって抱くと……――みんな死んでしまうんだよ、フィロメル。きみは死んでいないな。……生きている。(髪についた癖を整えようとして触れる。声は、安心したようでもなかったが、怯えた様子はひそまった。
└とうとい抱擁に涙ぐみ、続く台詞の切なさに転げ回りました。大切なひとを死なせてしなったエマさまの悲しみがうわあああ…でも生きて迎えられたこの瞬間にうわあああん…泣いてしまいます…。
……年貢として、領主さまにしるしをつけることを求められても――わたしの中には何もなかった。どうでもよいことだった。従うことに、なんの苦痛もなかった。きみのしるしをつけるときも、何も感じていなかった。……わたしが今、苦しいのは……、きみのことをよく知ったからだ。きみのことが大事だからだ……!……勝手なんだ、とても。全部自分で招いたくせに、それが耐えられない……また大事な人を傷つけるのが!……い、いやなんだ……。(いつの間にか大切に思ってしまったから、だからこそ過去の行いが苦しかった。奴隷の印をつけたことではなくて、ただ“少年にそうしてしまったから”こそ。こんなことを話して、少年にどうしてほしかったのかエマニュエル自身にも理解が出来ない。もうごめんなさいと謝ることはないけれど、男はまた怯えはじめて俯いていた。魔法使いの中にあった、醜い人間の部分が声を荒げている。)
└声を荒げることがあまりないからこそとても印象的で
(一度は凪いだはずの水面が再び波打つように、歪みゆく青年のかんばせをフィロメルは物言わぬまま見つめていた。織り上げられる脆い言の葉を――青年の吐き出すもの全てを、夜明け前の空気と一緒に深く深く吸い込んで、そうしてため息よりもずっと柔らかな息を吐く。)領主さまに頼まれたから、そうしただけなんだ。(落とされたのはありのままの事実をそのまま音にするだけの、特には感情の乗らないひとりごと。少しだけ目を閉じて考えてみる。胸中たゆたう気持ちは、かき集めてみたところでやはり穏やかなままだった。淡いブルーは再度青年を映し出す。昏い夜に溶けてしまいそうな、頼りないその姿を。)エマがこんなに悲しそうなのにうれしいなんて、僕ってすっごく冷たいにんげんねっ 。……でもね、エマにだいじだって言ってもらえたのがうれしくって、ほかのことぜんぶふっとんじゃった。むかしのエマが僕にひどいことをしたのがほんとでも、いまのエマが僕のことだいじにしてくれてるのもほんとでしょ。それってきっと、とってもとうといことよっ。(朗らかでいて、けれども暗闇を無理に暴くような明るい音色でもない。静かな夜に内緒話をするようなまろい声だった。全てを赦そうとするやさしさは自身のものではない。恐らくは、かつて自身が誰かから注いで貰ったものだ。それが今この瞬間、一心に青年へと向けられる理由は他でもない――)僕もね、エマのことがだいじだよ。それなのに、僕ってエマのことぜんぜん知ろうとしてなかったな。……忘れることが“つみ”じゃない のなら、エマもおなじでしょ。――エマがしるしをつけたのが、僕でよかった。たとえ世界がエマのことをわるものだってののしったとしてもね、僕だけはゆるしてあげられるもの。(先ほどそうして貰ったように、膝をつき俯く青年の頭をそっと自身の胸元に引き寄せた。大切に慈しむように、両腕に柔らかな力を込める。)……エマ、一緒にかんがえよう。エマが楽になれる方法と、――僕もね、きずつかないですむ方法。
└1レスまるごと抜き出していくスタイル。どこから切り出してよいものか……このイベントのフィロメルくんは、本当に内側から光を発していますよね……この発言が、のちのサバトくん――自分自身を傷つけないか心配でもありました。
「……ありがとう……。……もう、……ぼくは、これだけでいい。フィロメル……きみに、救われているよ。……ほんとうに、これだけで、いいんだ。でも、……考えようと言うなら、そうだな……きみのしるしを、解きたいと思っている。……なにか方法があるはずだから。――きみのお姉さんも。……奴隷でなんている必要は……きっと、ないのだから。」
└同じ言葉をエマさまに差し上げたいと思うほど、こちらも本当に、これだけで、エマさまのこの言葉だけで全てが報われる思いでした。エマさまは早いうちから奴隷のしるしを解く方法について考えていてくださったと思うのですが、2ndイベントからまた少し変化したエマさまの心境にこちらまで浄化されるような気持ちを抱きつつ、当時は元のサバトの性格のせいでこれからどん底に突き落としてしまうのではないかとガタガタ震えていました。
「……先程はみっともないところを見せて、すみませんでした。きみのことは、守りたいと……思っています。……その、まだ暗いですから寝直すとして、……今日は共寝をしましょうか。」
└タイトル会話で添い寝のお話をしていたこともあり二重にときめきました。エマさまがかわいすぎてときどき心配になります。
「……ありがとう……。……もう、……ぼくは、これだけでいい。フィロメル……きみに、救われているよ。……ほんとうに、これだけで、いいんだ。」
└エマニュエルさんが感情のままに話している姿は胸に迫るものがあります。
Mathis & Chainon
(柔らかな水色の髪の下を這い、魔法使いの指先はうなじへと。擽ったそうに身を捩った赤子の背中には小さな翼が生えていた。初めて見る筈の其の奇妙な痣を、然し何処かで見た事があると感じる此の既視感は一体何だろう。しかし首を傾げる事は叶わず、意識だけが置き去りにされたまま“祝福”の儀式は続く。此れから何をされるのかも知らず、待ち受ける運命も知らず、無垢な銀色は魔法使いをじいっと見据えて―――“お兄さん”と、確かに笑った。)
└流れるような描写に、当時の様子と現実が巧みに絡み合っておりまして、感嘆の息をついておりました。特に最後は…、シェノンはうれしそうに微笑みそうです。お兄さんとあらば。
(水色の髪、銀色の瞳、閉じた翼のような痣――既視感を感じる訳だ、少年は、彼は己が初めて刻印を植えた奴隷の子。額に、頬に、首筋に、胸に、此れまでに沢山施して来た子供の中の最初のひとり。)
└ある種マティスさんの初めてを頂戴出来てシェノン共々嬉しかったです! …とは、あまりにもあれでしょうか、笑 でもマティスさんが領主さまに近付くためのとっかかりになれたのはほんとうに僥倖であったなあと思っておりまして。
(「僕と仕事を変えよう、休んでおいで」「――が無理するより、ずっといい」脳裡に反響する声だけが耳に残るまま、少年は覚醒を迎えた。)え――…、……えーぬ…?(誰かの名前を呼び、安心させようと微笑んでいた気がする。成し遂げないと友に迷惑が掛かると、必死に帰ろうとしていた気がする。夢の世界でのみ蘇った記憶に、発露したユイの責任感の残滓が銀の少年を包んでいた。朝陽が射し込み白んだ部屋で、感情を御し切れず、涙が眦より堕ちてゆく。戻らないといけない。戻りたくない。此処にいる場合ではない。此処にしか居たくない。領主さまに、――お兄さんに。渦巻く記憶の欠片を、現今の想いで塗り潰し、すべてを忘却せんとする。思い出してしまえば己が変わってしまう 気がして、それが何よりも怖ろしい。あえかな吐息に交えるように零した音は、見知らぬ友から親しむ友の名にすり替えられた。目蓋が震えて、涙で霞んだ視界が世界を映し。青年の明け方の帰宅を迎えるのも慣れたもので、微睡みながら耳を欹てて、帰宅をした彼をベッドに誘いその懐で眠る。何よりも幸せなひとときに浸ってしまえ、と寝返りを打っている彼の腕に抱き着こうと体躯を動かせば、重い吐息が耳を掠めた。今日の帰宅も遅かったから起床は昼頃だと思っていたけれど、――上体を起こして、淡紅を覆う腕に小さな指を這わせた。静止がなければ美しい顔ばせに指が下り、頬を包むように。)
└シェノンくんの決して表には出ないこころの葛藤が切なくて、皆のお兄さん的存在 であったからこそ余計に帰らなきゃと思うっているのだろうなと思うと何時かその責任感にこころが潰されてしまわないかと心配で心配でもう……うわああああああ…。
「…お兄さん、起きてる? ……――シェノンって、呼んで。……、…お兄さんは、僕のこと。シェノンって呼んで、ね。…ぜぇったい。」
└シェノンくん…………切ないです…。
(あの赤子も生まれながらに奴隷になると運命が定め付けられていたからこそ印を施されたなら、如何して其れに罪の意識を感じられよう。此の世は不条理な事だらけだ。足掻いても足掻いてもそのひとに与えられた抗えぬ運命がある事を、魔法使いは知っている。厭というほど身を持って経験している――今も、尚。)
└飄々とし自由を謳歌している(風を装う)マティスさんの内面、抱える闇の深さを垣間見えて……その闇の深さを知りたいと願い、可愛いと悶えておりました。かわいいです。
(水の膜が張り、朝陽を採り込んだ少年の瞳は宝石のような輝きを湛えていて、其の美しさに惹かれるように魔法使いの指先が少年の目許へと伸びる。与えた名は紡がずに“おチビちゃん”と何時もの名称で少年を称しては、銀色から零れる宝石を掬い取りゆるりと首を傾げて問うた。)
└お兄さんはずるい方です…、名を与えても呼ばず、願われても変わらず。けれど涙は拭ってくださる優しさがあって…、惹かれて仕方ない魅力に満ち溢れた方です。
おねがい、僕を見て、名前を呼んで。シェノンって呼んで…、お兄さんだけがいてくれれば、いいの、…――おねがいっ、マティスお兄さん!(頬を伝う涙は已まず、彼の手に縋り付くように身を寄せ、離れまいと引っ付こう。甘えわがままを紡ぐこともあれど、此度ほどのしつこさは初めて。己が“変わって”しまう恐怖に震えるこころは、一心に彼だけを――マティスと名を宿し、嫣然と微笑む青年の低き声が震わす“四つの音”を希求せん。)
└シェノンくんのおねがいを却下することも多く、それに対しても決して食い下がることのなかったシェノンくんが初めて食い下がって来たことに驚きました。シェノンでありたい、という強い想いが伝わってきます…。
おまえがお気に入りだったっつーんなら…、…媚び諂えば赦して貰えるかもしれねえし。(焦燥にも似た名付け難い感情が湧き上がるのに比例して苛立ちも募るばかりで、胸中燻ぶる感情は唇が紡ぐ音にもありありと現れた。少年が家へ戻り如何酷い目に合おうと己には関係なかった筈で、姿を暗まし主に見付かった奴隷の末路などひとつしかないとわかっているのに頭が少年に其の未来を重ねるのを否定する。容易に見通せる未来から或いは少年から逃げるように、淡紅を銀から逸らし、考えた末に音になったのは希望とも呼べぬ苦し紛れの。)
└揺れてくださっている情景がありありと見えて…、愛らしいです。
「………ねえ、おチビちゃん。其の首輪、誰が付けたか知ってる?」
└この科白を待っておりました、とばかりに、初見時は思わず拳を握りしめました。
(魔法使いは愉快そうに薄らと笑みすら浮かべて、涙に濡れた幼い顔の輪郭を指先で掴まえる事が叶えば背を屈め、間近に銀色を覗き込み、残酷な真実を囁いた。)――おまえに首輪を植え付けたのは俺だよ。領主サマじゃない、他でもないこの俺が、領主サマに近付く為におまえの翼を手折ったんだよ。
└マティスさんを最も美しいと感じるのが他者を貶めようと――密偵としてのお顔を覗かせる折ではないかな、と。残酷な現実を突きつける際は常に笑みを張り付けて、それは仮面の側面も持ちつつ…、己を律して他者を貶めに掛かる姿が美しいです。
…僕に印をくれたのはお兄さんなのねえ。それなら、離れても……つながっていられるの…? ここにお兄さんがくれた印があるんだもん、…ふふっ、(他者に心を砕くことで感情を殺めていた奴隷の少年。記憶を失い、箍を見失い。生来の感情が発露した結果、淡紅のみで世界を織り上げる。そして斯様に在ることを希求しているが故、――双眸にとろりと恍惚が溶けて、微かに笑声が響こうか。深い依存の底に行き着いた解、彼が傍に居なくても“シェノン”で在れる指針を見つけ、こころに喜びが生じよう。どこまでも優しく、愚かな子供。小さく微笑んだ様は無垢な、彼を慕う銀の少年で在りはするけれど、)……僕ね、うれしいよ。奴隷でも、お兄さんとのつながりがあって。ね、うれしいの。
└この頃から…といってもそれ以前より依存の傾向はあったのですが、改めてシェノンくんの中でマティスの存在が大きいものであるの だと感じどんどん深みにはまっていく様子に嬉しいやら申し訳ないやらの気持ちでいっぱいで…。どうしたらシェノンくんを依存の海から救いだせるのかを考え出したのはこの瞬間からだったように思います。
「………世界はこんなにも広いのにさ。首輪に縛られて、自分を失くして――俺しか見えなくなっちゃったおまえは、……可哀想だよ。本当に。」
└可哀想と評されるとは予想もせず…、シェノンがシェノンならPLもPLで、可哀想…? とシェノン共々首を傾げておりました。お兄さんだけで十二分にしあわせなんですもの。
「――知ってるよ。お兄さんがやさしいだけじゃないひとって、…僕のことも“拾って”くれただけで、ここに居るのも僕の“勝手”でしょう? だから、…売られるのだって、わかるよ……。」
└そうだけど、その通りだけど…!!シェノンくん自身に言われるといいようのない痛みが胸を襲って……っ、違うんだよ大切なんだよーーーーーー!
僕のつばさを手折って、自由もうばって、…首輪をつけたけれど。ね。僕にとっては、だれよりも…世界よりも、好きなひとなの。好きだから、お兄さんにしばられるのも、つながりがあるのも、うれしいの。それにお兄さんがいじわるだったり、つめたかったり、…そういうのも分かってる、よ? ……でもね、お兄さんやさしいもん。頭なでてくれたり、いっしょに本読んだり、お料理したり、ぎゅうってしてくれたり、…マグカップも買ってくれたり、――シェノンって名前もくれたり。それはお兄さんが僕を思ってくれたから…だよね? ねえマティスお兄さん、…僕がごほうびってお願いしてだけれど。どうして名前をくれたの? シェノンってどんな意味?(“シェノンって呼んで”と訴える代わり に、その名の由来を再び問うた。先の突き放すような言動に如何に答えるべきかと、紡いだ言葉はシェノンとして過ごした時が齎した彼への思慕と思い出。淡紅によって織り上げられた愛しい記憶。これが何よりも大切で、彼を慕い、喜びが生じた解だ。青年と己のマグカップを用意し、出来上がったホットミルクの甘い香りに包まれて――淡紅は、艶やかなくちびるは、何か銀へ齎してくれるだろうか。寂しさと不安で押し潰されそうだった少年は、不思議と凪いだ心地で彼を見詰めていた。)
└突き放すつもりで、嫌われたくて言葉を投げた筈なのに求めていたのとは全く真逆の答えが返ってきて、嬉しいやら恥ずかしいやらでどうしていいかわからず、PLPC共々どうにかなりそうでした…。
――頭を撫でるのはそうすると少年が大人しくなるから。一緒に本を読んだのは知識を取り入れる為。抱き締めたのは寒かったから。マグカップを買ったのは少年が煩かったから。名前をやったのは自分で言いだした事だから。少年の言葉ひとつひとつに言い訳を付けながら、しかし肝心の口が其れらを音にする事は無かった。否出来なかった。全部少年が望んだから与えただけだと、其処に個人の感情や想いなどある筈が あるはずが、ないのに、なんで――。)…………、…聞かないでよ。どうしてかなんてそんなの――…俺が一番知りてえっつの。 あーもー…、こんな筈じゃなかったのに…ほんっっとサイアク。
└ほんっとうに可愛かったです、頑なに認めようとはしていなかったこころの変化を認めずにはおれず、思わずと零れた言葉が、想いが…いとしいです。
└自分の言動すべてに理由を付けてしまうのが逆にシェノンくんにこころ開いている証拠なのだろうなあと思わされます。マティスさんの揺れ動くお姿を見るのが切なくもあり、たまらなく好きでもありました。
「あーもー…、こんな筈じゃなかったのに…ほんっっとサイアク。」
└ごめんなさいうれしいですすきです。
(盛大に溜息を吐き、片手で顔半分を覆い隠し、唇から零れた声こそ厭きれと心底参ったような疲れを滲ませてはいたけれど、)シェノンは……幸せの連鎖。幸せを繋ぐもの。繋がり、って意味。――はい、以上。おーわり。理由とか質問はもう一切受け付けませーん。(静かな銀色を一瞥した後にぽつり、場に落ちた其れはささやかな音ではあったが少年の耳に届いていようといまいと二度と同じ事を言うつもりはないのだと。答えた声はやや投げ遣りではあったものの、其れが魔法使いなりの照れ隠しであると果たして少年は察せるか。兎にも角にも最後に砂糖をドバッと投入してホットミルクを完成させれば少年の用意したマグカップへと淹れ、何事も無かったように何時もの朝を再開させてしまおう。しかし冷静さを取り戻そうと口に含んだ一口は塩辛く――間抜けにも砂糖と塩を入れ間違えた事に気付くのは、其れから直ぐの事だった。)
└シェノンの名を頂いた際に意味は調べていたのですが精々「繋がり、環」って意味だろう、と思っていたのですが(首輪や鎖、ご主人さま等の話もしていたため)まさかの幸せの連鎖、がいちばんに来ておりまして……心底驚き、そして願ってくださった名の重さに喜びもひとしおでした。
└照れ隠しが可愛くって!動揺もとても。
└あのマティスさんが照れ隠しですよ!?笑 ほんとうかわいいですよねえお兄さん…。
└照れ隠しの口調がなんだか可愛らしいんです。
(兎にも角にも最後に砂糖をドバッと投入してホットミルクを完成させれば少年の用意したマグカップへと淹れ、何事も無かったように何時もの朝を再開させてしまおう。しかし冷静さを取り戻そうと口に含んだ一口は塩辛く――間抜けにも砂糖と塩を入れ間違えた事に気付くのは、其れから直ぐの事だった。)
└慌てている様子が見えて参りまして…、微笑ましかったです。
「……はちみつかけたら、甘くなあい?」
└御尤もです…(平伏)
「ふふ、うふふっ、…ね、お兄さん。僕すっごおく幸せ者だねえ。シェノンってこんなにすてきな意味のなまえだったんだ。――ありがとう、」
└素直に感情を言葉にできるシェノンくんはほんと可愛いです。
(名を与えてくれたことにもう一度御礼を。青年の照れ隠しをそれとなく察したのか、甘えつく仕草には常の親しみが籠められよう。調理の邪魔にならない程度に彼の腰に抱きつき、好き、大好き、と言外に伝えるように頬を摺り寄せた。そして、期待と幸福を刷った銀色が淡紅を仰ぐ。)お兄さん、マティスお兄さん。ねえ、シェノンって呼んで? いいでしょう?
└シェノン!シェノンかわいい!あいしてる!とマティスがあんなんじゃなければ名前を呼んで頭をわしゃわしゃ撫でてあげたかったです本当に…!笑
記憶が蘇るのが先か、領主さまが関わってくるのが先か…と紐解かれる関係性と、ユイに戻ってしまったらシェノンがぐらつき今迄のようには在れない、との軸のぶれをひしひしと感じておりましたので、何処までシェノンで在れるか、マティスさんの中に踏み込めるかと必死でした……。ユイになってしまえば身を引くのも目に見えておりましたし、マティスさんが求めてくださるようにも思えませんでしたので。記憶が又戻っていたのでその感情の揺れと一緒に兄の存在も吐露しつつ、生家への糸も垂らしながら――…自分で決めたこととは云え、ドレインの世界観では何が有っても可笑しくなく、それこそ立ち位置的な物で儚くなる可能性も零ではなく。情報は掴めるだけ掴む、探るだけ探る、と、可能性を探っておりました。首輪に関しては…、イベントの概要が見えた時からシェノンは受け入れ、その皮肉な運命すらつながりとしてしあわせをうたう、というのは浮かんでおりました。ゆえにマティスさんから奴隷の印をつけたひとの話を引き出したい、とも…、思っておりました。シェノンにすればぶれぬ核が欲しいからこその“シェノンって呼んで”で、“シェノンってどんな意味”と尋ねたのは今迄の思い出と一緒に、彼が確かに授けてくれた名前を武器にしての問いかけでした。
Lazaro & Cinq
思い切り扉を開けば身を起こしていたその姿を捉えて、)と、りゃあっ!(助走を付けて、足で床を蹴り、倒れ込むように。彼のベッドと彼の体の上に横から全身で飛び乗れば、
└これが日常って…ラサロさんに同情します。
(目元を覆う掌にじんわりと汗が滲んだ――刹那、勢いよく開かれた扉の音に覆われていた翡翠が姿を見せて、瞬く。その先にいる少年は、今日も今日とて変わりなく、無邪気に駆け、笑い、男の罪も知らずに生きていた。突然の襲撃は最近の常となれ、思わず呆気にとられたまま飛び込む小さな身体の衝撃を受け止めては、悪戯気に笑む少年を視界に映す。あの時の赤子のまま、何も知らない、分からない、忘れた少年の姿が、罪悪感を煽るようで微かに歪んだ表情は何処か泣きそうにも見えただろうか。見詰める焦げ茶の三日月に、僅かな悲痛を帯びた歪な笑みを向けるなら、大きな掌が柔らかな黒髪を撫で付けた。)……朝からうるせェよ、心臓に悪いって言ってんだろうが。(己の罪を告白することなど出来なくて、でも上手に隠しきることも出来なくて。何時もの悪態は然れど何時もの勢いなく、紡がれた。)
(曖昧で小さな相槌を受けて、少年がこの話を飽きずに聞いていると言うことだけは認識していた。聴覚のみでの確認であり、視覚での確認はしなかった。彼の反応を見るのが怖かったから――けれど、いざ話終えて、少年をその翡翠に映せば其処にあるのは、いつもと変わらぬ笑みを湛えた姿だった。彼の口の中へと押し込まれた指先は無意識下の物であり、見上げた少年は微かに戸惑いを帯びていたはずなのに、今でこそ向けられるのは無邪気な、笑顔。悪戯が成功したときと何ら遜色ない其れであれば、彼の手により引き離された掌は依然と震えを携えたまま柔く拳を握り、そして下ろされ、ベッドシーツに皺を作る――こんなときでも笑う少年に、ほんの僅かな恐怖心を抱いたのだ。)
└異常さに恐怖心を抱けるようなところがまた好きなので。
だってさー…よくわかんねえもん。幸せからひきはなしたとか言われてもへーだし、自分が奴隷でも人でもどっちでもいーし。それに“奴隷”はもう“ヒト”にはなれねえんだろ?んじゃあ仕方ねえじゃん
└このあっけらかんとした考え方がサンクくんならではだなあと唸らされました。
……ただな、お前さんがどんな手伝いする気かは知らんが、……もし忘れさせてくれるってんならお前さんとの新しい記憶で忘れさせちゃくれねェか。(だから、もし忘れさせてくれるなら彼との記憶を新しく刻んでいきたい。拾ってしまった責任なんて、これ以上の例外を作りたくないなんて、そんな建前はもう必要ない。もし彼が此処にいることを望むのなら、彼の気が済むまででも構わないから、どうか少年の隣で少年が生きる道を見届けさせてはもらえないだろうか。震えを帯びていた掌は、真っ直ぐとぶれることなく再び彼の頬へと触れて、向けた表情は情けなさの残る笑みだった。)
└ラサロさんの中にあるサンクくんとの線引きが崩れた瞬間だったのではないかなあと思います。この辺りからラストにかけてのラサロさんのサンクくんに対する懸命な想いがあたたかくて切なくて辛いです…。
Lennart & Linaria
…ああ、……ふふふ。やっぱりそうだ、君だったんだね。ひだり、左の肩に、しるしがあるもの!わたしがね、つけてあげたんだ。君を、奴隷にしたのはわたしだったんだ!(――彼を奴隷に貶めたのが本当に自分であるなら、それは―――なんて、甘美なことだろう! 矢継ぎ早に捲くし立てた男の言葉も、声も、瞳も、全てが喜色に満ちていた。不安を湛えて揺れていた紫は、もうその影さえ見当たらない。其処に居たのは、自らの手で少年を人間以下へ堕とした事に悦楽を感じる、不気味な男の姿だけ。)……わたしがしるしをあげたんだから、わたしのものだよ。君も領主様より、わたしの方がいいでしょ?ね、リナリア。
└ぞくぞくします。
└不安定な足場が崩壊をはじめた瞬間、ぞっとする瞬間でした。
└少年にしるしを付けたことをこんな風に捉えられるのはレナートさんくらいなのではないかと…好きです…。
(――彼がいなくなれば自分はひとりぼっちになってしまうのだ。だから――だから、彼の様子がおかしくとも、今の状況が“普通”でなくとも、気付いてはいけない。気付かない振りをしなければいけない。ただ盲目的に、この人しかいないのだと、いらないのだと、自分に思い込ませるように。――そうして浮かべたのは夢で見たものとは程遠い、歪で泣き出しそうな、下手くそな笑み)………はい、レナートさま。“領主さま”も、他も、レナートさま以外いりません。
└愚息の発狂に巻き込まれる形でこんな笑顔をさせてしまって申し訳ないやらで、ドレインで初めて胸が苦しくなったシーンです…。
└笑い方に胸が締め付けられます…!
「……レナートさま、それは約束?ほんとにずっと一緒?ぼくのこと、きらいになって、捨てちゃわない?ずっと、ずっと――ぼくが死ぬまで、ほんとにずっと?」
└これまでお人形さんのようだったリナリアくんが、静かにけれども確かに感情をあらわにする場面にこころ震えました。
└ある意味この場面がとてもフラグだったのだなと読み返して思いました。
Ruska & Lucht
…〜〜〜〜〜っっ!!どこに行ってたんだ!!なんで…いっつも、僕をひとりぼっちにするんだ!!(家主が帰って来るやいなや癇癪を起こす声は震えて上擦る。目頭が熱くて、鼻の奥がツンと染みる―――少年は怒りながら泣いていた。)
└毎度毎度泣かせてごめんなさい。
(平素と変わらぬ姿、冬風のような空気を纏った魔法使いが扉より現れると、安堵と理不尽な怒りが混ざり合ってマーブル模様な感情を彼へとぶつけていた。大きく泣き喚くことはなかったが、う"ーうー、犬のように不明瞭な噛み殺すような泣き声を上げて、うつくしい自分の唯一嫌う場所、左肩に残る痣をガリガリ引っ掻いた後に、近付いた自分より大きな身体を何度か叩く。寂しい、悲しい、素直に感情を言葉にできない不器用な少年なりの表現か。ぽろぽろと頬の上に落ちる粒の涙を袖口で拭うと紅い唇を噛み締めて、)…わるいとおもッ、う、 なら…もっと、ちゃんとッ ぼく、のそばに…い"ろ、っよ…(何度も嗚咽としゃっくりに邪魔をされながら紡いだ言葉は、可愛げのない上から目線な言葉だったけれどれっきとした本音だった。)
…これで涙が止まるといいんだが。(手招きに応じてやってくるその目元はすんなりとは止まらない涙に濡れている。それを認めて仄かな苦笑を浮かべた後、手招いていた指先は冷たい水が汲まれた片手鍋を指差して注目を求める。彼の視線が鍋へと注がれたのを確認した後、男の指先がちょんと水面に触れ??ぽこここぼこり、急激に水面がさざめいては鍋底から次から次に沸き立つ。瞬時に沸騰した湯は、真っ白な湯気をくゆらせて男の手を隠してしまう。そして、男が煙の中から手を引き抜くのに合わせて、舞い上がる湯気が蔦の形を取って男の手に絡まっていく。)…ほら、暖かいぞ。(触ってみるかとばかりに湯気の蔦が絡まる手を少年へと差し出して)
└あんなに頑なに魔法を見せてくれなかったルスカさんが魔法を見せてくれた貴重なシーンです!!
└ルフトゥくんが憧れていた魔法をこのタイミングでこういった形で見せてあげるというのが、ああやさしいなあ…と胸があたたかくなりました。
「僕をバカにしてるのか?そばにいるだけで足りるか。僕が安心してねれるように体をポンポン叩くのも忘れるな。…いいな?ポンポンだぞ。」
└ポンポンかわいいポンポンしてあげたい…。