Baldo & Beate

(額に感じる祝福に擽ったそうに微笑んだのは初めてかも知れない。されるたびに何故が小さな体躯の中を渦巻き不安げな瞳が彼へと向けられた筈。覚束ない足取りで夢に誘われた今だからこその触れ合いだと気づくのは、すっと意識に冷たい風が吹き込んで目が覚めたあとのこと。今は微睡みのなか、守ってくれる優しい人へと甘えていた。そっと見上げた瞬間網膜に結ばれた像の意味が分かるほど人の機微が分かるわけはなかったけれど、その時の子供は手をぎゅっと魔法使いの背中へと回し返した。理由を問われれば何となくとしか答えられないけれど、そうしなければいけない気がして。)
└微笑むベアテ君がとっても可愛いかったので。

――産まれて初めてのように、見たこともない世界。すべてを失ってから、自分一人で魔法使いの家から出ようとはしなかった子供は力強く伸びる木々に、体中を吹き抜ける風に、隣を歩く頼りがいのある猪に、身を委ねることを許されたように感じる魔法使いの存在に、世界が息をするさまに、先ほどまでの怯えも忘れて頬を綻ばせた。足の裏に感じる砂利も楽しくて、緩んだ唇はいびつな鼻歌のようなものを口ずさむ。手を少し揺らして、跳ねるように。すべてが楽しくて仕方がないのを表現する方法は其れしか知らなかった。さらさらと流れるせせらぎが鼓膜を擽り、澄んだ空気は冷気を伴って近づいてくる。きららかに光を分散させる水面が遠目に見えるときゅっと彼の手を握る力が強まった。近づきたいと急かすように足はとどまることを忘れて水面に程近い場所へ、透き通る湖は訪れを歓迎するように魚達が喜び駆けまわる姿に感無量の息を吐き出した。)……きれい……透き通ってて、魚の世界をのぞいてるみたい……!(身を乗り出して吸い込まれそうな湖面に見入っていた子供は、期待に満ちた瞳を彼へと向ける、)この魚たちとも、お友達なんですか?とても嬉しそう、です…!
└本当に綺麗な光景だったんだろうなと思うような喜び方で…!

そう。みぃんな俺の大切な愛しい友。…ほら、彼らもベアテを歓迎してるよ!(前方へ無造作に差し出した指が仄のりと温まると同時に水面がちいさく揺らぎ、ゆっくりゆっくりと重力に逆らって下から上へと昇ってゆく。バルドの手甲を擦り抜け手のひらの上に輝く水が大きな玉となって留まると、其の中に思いっきり湖から跳ねた魚が何匹も飛び込んでくる。届き切らずに水の中へ逆戻りしている友たちに微笑ましげな視線を向けながら、子どもと繋がる指に少しだけ力をこめた。)
└この光景をドゥヴァは死ぬ瞬間まで忘れることはないと思いました。
└この魔法、綺麗だな!見てみたいなーと思いました。

……あ、れ……なんで……いま、悲しくないのに……(歪んだ視界、泪が流れて引きつる身体に戸惑うように何度も拭うけれど其の甲斐もなく流れ出るばかり。魔法使いが用意した、何故だかとても綺麗だと感じさせられる服の袖も濡れ滴る。水面へとぽたりと落ちる其の音で、キャンバスに泥をぶちまけているようなそんな背徳感に襲われ、急に夢から覚めてしまったかのよう。ぎゅうと掴んだ指先を解こうと指から力を抜いた。水を汲まないと、と間近の猪へと視線が移る、)
└湖のお魚に無邪気にはしゃぐお姿からのこの涙が…泥なんかじゃないよきれいだよとぎゅっと抱きしめたくなります…。

おまえの涙はうつくしいなぁ、ベアテ。悲しくなくても流れるものはあるんだよ、俺の可哀い仔。どんなしずくもうつくしいけど、おまえが零すうみはとってもきれい。
└ベアテくんの涙も、それを表現するバルドさんのお言葉も、どちらも美しく澄み渡っていて清らかな空気の流れのようなものを感じました。


Emmanuel & Philomele

(やがて地面へと降り立つことになるとすればしばし考えたのち、)エマっ。……あのね。僕、うまくおりられないかもっ。(木々のざわめきに紛れて、甘えたような声が一つ落とされる。普段の身軽さに知らぬ顔をすることへの慎みよりも、手袋越しとはいえ軽々と抱き上げて貰えた先ほどの喜びが、勝った。)
└抱き上げてもらおうとするフィロメルくんがかわいいです

「ええ、……素晴らしいです。ほんとうに、そう。」
└エマさまのかわいいところは「見て見て!こんなにかわいい!」と周りに自慢してしまいたくなってしまいます。エテを誇らしく思うエマさまに胸キュンでした。

そんなとき――少年がこちらを振り返った。木々が日光を遮る森の中にあっても、淡い空色はうつくしい。うつくしいものを間近で眺めながら、魔法使いは落ち着かぬ気持ちになる。自分からこの距離を選んでおいて――もっとも危険の少ない姿勢を選んだのだから当然なのだが――その近さに戸惑っていた。狼狽を押し出すように、手綱を強く握りしめ、)……前を向きなさい。(と小言を言った男の声は、やや上擦っていたかもしれない。
└ 動揺がなんだか可愛らしくて

……降りられない?(少年の甘えた声にはまたしても眉を寄せてしまった。しかし、男はけして機嫌が悪いのではないし、普段の身軽さを思い出して訝しんだわけでもない。その証拠に、やはり一瞬躊躇った両腕は細い腰を掬い取って持ち上げ、)……、すみません……。(よろついた。そのまま、なんとか下に降ろす。使役に乗った上、しかも慣れぬ子供を手前に乗せての移動は薄い身体には堪えるものだ。眉間のしわの正体は、そんな己のたよりない肉体に対する不安の現れであった。
└最初のころは(も?)無茶を言ってエマさまを困らせてばかりだったなあと懐かしくなりました。エマさまの身体の弱さは原因を思えばとても心苦しいのですが同時にどうしても愛おしいところでもあって、ここでのか弱さにはPLPCともども「守りたい(使命感)」と思わされました。

少年が息を呑む気配が伝わり、眼差しは獣たちから逸らさぬまま、エマニュエルは触れるか触れないかの加減でちいさな背にそうっと手を添えた。
└エマさまのこういう細やかな所作がやさしくて美しくて、とても好きです…。

忘却は罪悪ではありません、忘れない生き物はこの世に存在しません。……記憶は、自分というすべてです。記憶を失えば自分そのものが薄れてゆく。フィロメル、あなたはいま……いわば、自分自身を失った“いつわり”なのですよ。いつわりから、本来の自分に戻ろうとする第一歩でお姉さんの存在を取り戻したあなたにとって、彼女が大切な方でなかったとは考えにくい。言い捨てず、大事になさい。……けれど断片的な記憶に縋ることもしないように。何か思い出したら、すぐに言いなさい。……返事は?(背に添えていた手を肩へと滑らせ、そっと腕のラインをなぞるように下ろしていく。臆病者の手のひらは、今だけは躊躇いなく少年に触れていた。言い含め、過去を取り戻すことが少年にとって最善なのか――まだ、わからなかったが。そうしなければならないという想いがあった。忘却は救いであるけれど、同時に例えようない哀しみでもあるから。そして気付く、いつの間にかあの朝よりも、少年を慕わしく思う瞬間があることに。しかし気付いてもどうすることも出来ず、青い瞳をゆっくりと細めるだけ。
└何度も大切に読み返した場面のひとつです。悠久を生き忘却の苦しみを知るからこそのエマさまの言葉が深く胸に沁みます。相手にやさしく、けれどもしっかりと言い聞かせるようなエマさまの言い回しは師のようでもあるなあと他の場面でも思わされました。「……返事は?」の部分もまたたまらなく好きです。

「……だからね、ほんとのこと言ってもいい?エマの家が僕のあるべきところだったらよかったのになって、いまちょっぴり思っちゃった。」
└こんなに可愛らしく言われたら傍に置いておきたくなっちゃいます。

……そうですか。(かろうじて出来た返事は、ただ柔らかいだけのもの――肯定も否定もしない、茫とした声。近い目線で淡いブルーを眺めながら、エマニュエルは無邪気な少年の向こうに、失われた少年の姿を見ようとした。――すべてを思い出したとき、同じように思ってくれるだろうかと……おろかな望みを抱きながら。そうして思う、このうつくしい純真に触れてはいけなかったと。うつくしいものはいつもエマニュエルに傷をつけていくのだから。するりとあっけなく離した掌に、冷えた風が吹き抜けていく。)
└ここでのエマさまの心情が!うわーん!そう望んでくださるのかと!大興奮でした!

ねえ、エマっ。いつかね、僕のお姉さんも一緒にここへつれてきてほしいなっ。みんなでなかよくなれたら、もっともっとすてきねって思ったの。(それが青年を、ひいては自分自身をも締め付けるかも知れないとは思いも寄らぬまま、無邪気なねがいごとをまたひとつ紡ぐ。全てを失った少年は名前を授かり、森の家族に受け入れられた。少しずつ増えていく感情の機微は“取り戻したもの”なのか“新たに生まれたもの”なのか、未完成の心では判じることは出来ないけれど。止まり木を得た小夜啼鳥は明日を恐れることもなく、目映そうに微笑むばかりだったろう。とくべつな一日を、胸いっぱい謳歌するように。)
└2ndイベントの、特に後半にかけてのメルちゃんには、胸が締め付けられるようでした……偽りの上に成り立つ幸いがとても優しく穏やかで、メルちゃんもすべてを忘れているからただの少年のようで……と書いているうちに、エマニュエルもこう思ってメルちゃんの隷属の魔法を解いてあげようとしたことを思い出しました。これはしょうがないなあ…。

(エマニュエルにとってその“枷”は、解けるものであると確信があった。ああ、ならば、と思う。少年が全てを思い出したとき、何も変わらぬというのなら――否、すべてを思い出しても、何も変わらぬように。少年の呪いを解こう。その時のために枷を壊そう。それこそが、エマニュエルの出来る最大限のことで、示せる誠実であり、なにより少年のためになると……そう思ったのだ。冬の木漏れ日のように淡い微笑みが、エマニュエルのくちびるにほんの一瞬咲いた。)フィロメル、……もうすこし、ゆっくりしていきましょう。(――いつわりの時間は、つくりものであるからこそ優しい。)
└この漂う空気はすごく素敵なのにとても切ないです。
└はじめてのエマさまの微笑みにやさしい気持ちをいただいたのですが、いま思えばこの時点ですでに“覚悟”を決めていらっしゃったのだなあと思うと、事実を言い出せない葛藤も含めてたまらなく切なくもなります…。

Mathis & Chainon

「あのね、お買いものに連れていってくださいな。お兄さんとおそろいのマグカップ、早くほしいの。……だめ?」
└何気ない一言でも拾って物語に繋げて下さるシェノンくんとPL様には毎回頭が上がらない思いで一杯なのですが、なによりこんな可愛くお願いされてダメって言えるわけないですよね。ね。

おチビちゃんくらいの大きさならぱくっといかれちゃうんじゃねえの?(何時だか綴った魔法使いの言葉を鵜呑みにし、好奇心と恐怖に揺れる少年の行動の一部始終を見届けて零れた笑みは可笑しそうに。体長1m50cm程の全身を黒の鱗に覆われた使い魔は確かに少年より大きいけれど、人ひとりを丸呑み出来る程ではない。しかし少年の恐怖を更に煽るような言葉を紡ぐ魔法使いがわざわざその事を指摘する筈もなく、少年の事を―恐らく玩具として―気に入ったらしい相棒の頭を指先で撫でやった。)
└茶目っ気があって可愛いです。

「うんっ、おそろいのマグカップ。…ふふっ、お兄さんいっちゃったの。――ほんとう? やったあ! ありがとう、お兄さん。今日お仕事ないなら、ずっと一緒にいられるね。」
└キュンッ……。シェノンくんの幼さの垣間見える反応が本当にかわいくってかわいくってクールなマティスの陰でPLは毎回その反応に床を転げまわって悶えておりました。

(少年の指先が優しく鱗に触れる度にちろりと赤い舌先を覗かせてみたり、鋭き牙の生えた口を開けてぱくりと噛み付く仕草をして見せたりと此の黒き使い魔も主によく似て中々に意地悪で狡賢く。円らな涅色の目は獲物を捉えるように、或いは少年の一挙一動を楽しむようにじいっと少年の銀色を真直ぐ見詰めて逸らさない。)
└エーヌくんエーヌくん!! と、興奮しておりました…笑 使い魔さんとは仲良く出来たらなあ、と思っておりましたのでシェノンを弄んでくださりうれしかったです。

は、ずっとぉ!?…そーじゃん…、仕事ねえんなら今日一日ずぅっとおチビちゃんのお守しなきゃなんねえんじゃん………はぁあ、すっっかり忘れてた。(ずっと一緒――言われて初めて気付いた事態に魔法使いは素っ頓狂な声を上げた。この眩い無垢な少年に朝から晩まで付き合う事になるのだと思うと良いだとか嫌だとかそういう感情はないものの、ただ仕事以上に疲れる事になるのは確かだろう。鮮やかな茶髪を乱雑に掻き上げ、落とす音は心底疲れたような深い溜息と共に紡がれるものの、「なーにすっかなぁ…、…一緒に夕飯でも作る?」と淡紅を少年へと向け尋ねて首を傾げる辺り満更でもないようで。
└シェノンくんにペースを乱されるマティスさんがかわいい上に満更でもないなんて!おふたりのこういう何気ない平和な日常のやり取りがとても好きでした。

「うんっ、ずうっと。だってお兄さんお仕事ないんでしょう? だったら一緒にいさせて。ね。ふふっ、…お守お願いしまあす?」
└しまあす?の破壊力が…シェノンくんって実はとっても甘え上手…。

エーヌ、…ふふ、きれいな音。エーヌ、エーヌ? よろしくね。僕は――…、なまえも忘れちゃった奴隷だけれど。君と仲良しさんになりたいの。(にょろりと伸び上る頭部を撫で、耳朶を打った音をなぞった。エーヌ。その音が持つ意味は解らぬけれど、耳に馴染む綺麗な音。幾度となく舌の上で転がし、記憶へと刻み付ける。蛇さんでもよいけれど、知った名は成る丈呼んでゆきたいと。自然と己の名を返そうとしたところで、はたと記憶喪失の現実を思い出す。名もなき己に少しだけ寂しそうに笑んで、)
└あああああああああ!!寂しげに微笑むシェノンくんが切ない!けれどマティスは自ら名前をあげるような奴じゃないしうわあああああああと頭を抱えた瞬間。普通に名前をお ねだりされてもヤだの一言で蹴ってしまいそうだったので、御褒美として名付けを挙げてくださったPL様には全力でありがとう御座いますを言いたいです。本当にありがとうございます…。

(直向きな少年の双眸から使い魔は何を感じ取り、何を想ったというのだろう。魔法使いを見向きもせず少年と睨めっこをして遊んでいた涅色は銀色から一転、淡紅へと獲物を変える。長年連れ添った相手、声などなくとも魔法使いには使い魔の言いたいことが手に取るようにわかって、声なき言葉に魔法使いは不機嫌に眉根を寄せた。)……………余計な御世話だっつーの。(“大事に”――己の利益のみを考え優先する魔法使いにとって、それは無縁に等しい単語。)
└エーヌくんの言葉とマティスさんの反応に吃驚したのはわたしだけではないと思っております…、エーヌくんお優しい…。

「ひ・み・つ。おチビちゃんは知らなくていーの。」
└ひ・み・つ。ってこの云い方がかわいらしくって。

「ほんっとにさぁ、俺の好みなんて知ってどーすんの?言っとっけど貢いで好感度上げようって魂胆なら無駄だぜ、ガキは専門外だからときめかねーもん。」
└ほんとうに噛みあわないものだな…、とマティシェノの相性を、もとい考え方のちがいが如実に解る科白だなあ、と。

――…案外これがお気に入りの理由だったりして。ハダカに剥かれて観賞用にされてたこともあるかもね。(其の指先が目指す先は翼が閉じたような変わった痣。避けられさえしなければしなやかな指先は痣をなぞるようにして少年の白い肌を滑るだろう。形も、鮮やかな赤も、痣と呼ぶには美しく――口許を薄らと嘲笑が彩り、名残惜しげに指先を離しては、)
└こう、時折うかがえる嘲り交じりのマティスさんってとても美しいと思いまして。ユイが斯様な状況にあったかはPLでも解りかねますが…、すべては領主さまの趣味次第ですね、なんて。

「お揃いのマグカップはあくまでも夕食とはちみつの買い出しのついでだと――そう思わせるように。」
└ちょっとずつ行動に少年への愛情がにじみ出てくるところが愛おしいです。

…ひ、と……。ゃ、……離さないで、ね。離れないでね…ぜぇったい…。(顔の広い彼が領民から声を掛けられる度、青年の影に隠れ、銀は怯えを湛えて伏せられる。此方に話題を振られることがあれば怯えは度を増し、涙すら浮かぶか――青年にだけ注がれる直向な信愛と依存が露見すると共に、他者を畏怖する新たな面が見えよう。彼だけに集中出来るのならば、真新しいばかりの世界を、街を、楽しむ余裕も出来るだろうが。)
└最初はね、マティスは手を繋いで街を歩くつもりなんてなかったんです。鬱陶しいとかいって途中で振り払うだったんですけれど、ね……ええ、離せるわけがなかった……(完敗)

「いーや、今回は何年経とうが教えてやらない。」
└Noteでも似た一幕がありましたが、マティスさんは頑なに年齢に関しては触れさせてくれませんでしたね…お若い部類ですのに。

(繋いだ指先に力の変化を感じてはやれやれと小さく肩を竦めてみせて、仕方ないなと諦めにも似た微笑を湛えて眼下の少年を一瞥した。)……おチビちゃんがぎゅーって強く握ってるもんだから、これじゃあ離れたくったって離れらんねーって。
└仕方ないな、と微笑んでくださっているマティスさん、これってでれですよね?! すごく愛らしいです…むねをぎゅうって掴まれました…どうかシェノンを離さないでください……。

「……うん、なら、いいの。ぎゅーってするの、…離さないの。」
└寧ろこっちが離さないよ!!!

……っぁ、…これ。お兄さん、僕、これがいい。お花がね、お兄さんのおめめみたいで、とってもきれいなの。(そう云って彼に差し出すのは、白に――薄らと灰色が交じり、見ようによっては淡い銀色にも捉えられよう地の色に、鮮やかな淡紅の花が咲くマグカップ。形状も大きさも青年の物と一緒で柄だけが異なる“おそろい”の品物。まるで自分の眼に映る青年の艶やかな双眸のようだと、唇が弧を描いて、彼を見上げた。)
└お揃いってだけでも嬉しいのにそのカップにマティスの色を取り込んでくださったのももう嬉しくて、シェノンくんの色と組み合わさってるってところもほんと……いい…。マティスだってそりゃ照れます…。

んー…閉じた翼みてえな、そんな感じ。奴隷に翼なんてあったって何処へも行けやしねーってのに、…皮肉だな。(尤も閉じられた翼では飛び立つ事も叶わぬが。未だ自力で殻から抜け出せぬ小鳥のように、其れは鎖に捕らわれた少年の運命を、生き方を表してもいるようだった。)
└ほんとうに皮肉だなあと…痣の由来もあるので、其方も併せてとても皮肉だとPLは思っておりました。でも翼はお兄さんとお揃いなので! 運命だね、とこっそり裏方では盛り上がっておりました。

(残る買い物は今回の一番の目的地、鐘の音に釣られて姿を現した店主とは古くからの顔馴染みであった。店主へと笑顔で手を振り、)
└今にして思うと此処から伏線があったのやも…、なんて思わずにはいられません。店主さん…お兄さま……。

(淡い銀色のようにも見える下地に描かれた淡紅の花、見覚えのある色だと思ったらそういう事かと。幸福に淡紅を仰ぐ銀色を見て心にじわりと滲んだものはさて、なんであっただろう。)
└ロール内ですがでれてくださり感無量でした…すきです。

(双眸に張っていた水膜が滴を形成し、少年の頬を滑り落ちた。ぽろぽろと已まぬ雨のように静かに零れ、蛇に縋っていた指先が拭い去るが、その所作は拙い。奴隷の過酷な運命を愁うのでもなく、突き放すような物言いに触発されたのでもなく。記憶を取り戻す事の畏怖と、少しだけ還って来た“兄”の記憶を思い返してのこと。帰りたくない。此処に居たい。彼の傍に在りたい。その想いが滴となって、)…ぃ、や、…やだ。…なにも思い出したくないの。知りたくない。お家も、記憶も、……いらない。僕は…マティスお兄さんといっしょに、いたいだけ…。(ふるふると水色を振って否を示す。記憶を取り戻す心地は、今の自分が消えてしまうような――彼だけで世界を構築する己を失ってしまうようで 、怖くて仕方ない。何もかもを無くした白紙のまま、淡紅色だけに染められてしまえばよいのに。)
└家も記憶もいらないと、ただマティスと共に在ることだけを望むシェノンくんがたまらなく愛おしく、そしてとても哀しくて、こんな風にしてしまったのはマティスの接し方の所為もあったのかなと罪悪感を感じました…。

駄々捏ねて泣いたって、現実はなーんも変わんねえよ。その首輪がある限りおチビちゃんに人生を選ぶ権利はねえんだもん。だから一緒に居るのだって無理。…俺はおまえの飼い主じゃねえから。(募る苛立ちの起因も何かもわからぬまま、見せ付けるように吐き出した盛大な溜息と共に唇を零れた音は棘を孕む。スルーを決め込もうと思っていたのに心に燻ぶる何かがそれを邪魔した。少年がどんなに魔法使いの傍を望もうと、離れたくないと願っても、お気に入りのペットを手放す飼い主が何処に居ようか。此の家から少年の笑い声が、お兄さんと呼び慕う声が聞こえなくなるのは、きっともう直ぐの事。少年が奴隷である限り其れは避けようがない運命、だから、だからこそ余計に深入りなどしたくないのに――。)
└こう、深入りしないようにしないように、と気を張るにつれてうっかり引き摺りこまれてくださって…、その葛藤がいとしかったです。

……………は?(揺れる耳飾りは少年曰く、お揃いの。満面の喜色を真正面に据え、唇が零した声は至極間抜けに響いたに違いない。きょとん、驚いたように淡紅を丸くして、耳を飾る“お揃い”に触れた。)これは………――まあ似たよーなもんか。俺のはおチビちゃんのと違って付け外しが利くけどね。(飛べない羽という意味では同じなのかもしれない。運命という鎖に繋がれ、羽ばたく事すら叶わない、其れでも尚自由を夢見る籠の中の鳥と。改めてお揃いの言葉へと同意するように魔法使いは唇の端を引き上げ、穏やかな弓を引いた。)
└驚きからまさかの同意の…それも穏やかな笑みを描いてくださって、くださって…!! お兄さんそれは反則です…。

(「支払いはいつもの方法でいいっしょ?……今晩行くから、鍵開けて待ってて。」紙袋に品物を詰め込む店主の耳許へと唇を寄せ、)
└まさか此処まで堂々と夜這いするなんて思ってもみませんでした……。斯様な様子は今迄のレスで垣間見えておりましたが、目の前に真っ赤に染まったのは此処が初めてだったかなあ、と。

(訝しむような視線を感じる事があれば台の上からいちごの瓶を取り上げ、真っ赤な瓶の中身を少年の目の前へと突き付けよう。)――指で掬って、舐めてみなよ。すっげー甘いから!(甘味の味すら忘れて、或いは知らない少年に少しでも早く味を教えてやりたいと思うのは共感して欲しいからなのか、顔ばせに滲む笑みは魔法使いの人懐っこさを現しているようでもあった。
└この差し出し方と言い方が可愛い…

「ふふっ、名前で呼んで? シェノンって!」
└早速名前を使ってくださったのがとっっても!嬉しかったです!

(それから一転、青年の耳飾りに戯れる指先は拙いながらにも幸福を宿して。驚いたように丸められた双眸にふふっ、と笑声が零れおつ。)うんっ、…お兄さんの羽はとり外しができても、おそろいなの。飛べない羽、…っていうよりも、同じ羽ってだけでうれしいの。(取り外しが利く羽飾り。肌に刻み込まれた赤痣とは異なり、青年の羽は飛べなくても自由である。その点に於いてはおそろいと云えぬやも知れねども、――同じ翼を持っているだけで、少年のこころは簡単に幸福に満ち足りた。)
└羽をおそろいというシェノン君が可愛いです。

記憶を少しばかり取り戻しましたが、初めからマティスさんにお話する気は御座いませんでした。その後明らかにさせていただきましたが、此の時分の黒髪の兄の――アンの科白は「俺たちはお前の兄かもしれない」的なもので、ユイが奴隷の自分に聞かされ、彼等を兄であるやも知れないと認知した切っ掛けの時です。ユイ自身はカトルとアンのことを肉親とは認めておりませんでしたので、兄と錯覚させる必要があり、霞がかった夢の中での情景にして記憶喪失も加味させて思い違いの形で“兄が居る”との記憶に。物語の組み方と致しましては丁度回覧板で使い魔に触れておりましたので、エーヌくんとの絡みが欲しくて蛇さんに触れておりましたね。あと流石に小鍋のままホットミルクを飲むのは厳しいかな…との思いと、おそろいのマグカップの提案が挙がったので其方をお願いして、外出イベントにさせていただきました。このイベントではエーヌくんとマグカップさえ触れられれば、と思っておりましたが、お洋服を綺麗にする件でユイの痣に触れたり、奴隷の在り方に関して知識を乞うたり――何れは領主さまと対峙することになるでしょうし、と、知識欲旺盛な性格を使って情報を集めたり、逆に託したりしておりました。翼を閉ざしたような痣は出生にも関わっておりましたので。

Lazaro & Cinq

此処最近のなかじゃ一番だな、…毎日飽きずによくやるよ。(せめて此処にいる間だけでも彼が楽しく過ごすのならばそれもいいだろう。時に田畑を耕すことを手伝ったりもしてくれているのだから、たまには彼の悪戯に付き合うのも悪くはない。先程までの鋭い目付きは柔く眦を下げ上機嫌に揺れる黒髪に大きな掌を置いてくしゃりと掻き乱す。)……だが、あんまり危ねェことはすんなよ。(そんな言付けを託しては、行くぞと先を促すように軽い力で髪を叩くように撫で付けた。)
└やんわり受け入れてくれるような温かさが素敵で。

……うるせェ、お前さんよりかはだいぶ長生きではあるだろうが、おっさんかどうかは関係ねェよ。(駄目で元々大人しくしていろと言い付けはするものの、この少年のこと。静かにしていられる時間など微々たる物と思えばこそ、動物たちにも後でそれを伝えねばと思うけれど、悉く“おっさん”を強調されては諦めも漂うが否定の言葉を紡いでおこう。おっさんと言うよりはおじいさん以上の年齢、今更とやかく言われて傷付くような性分ではないけれど、この少年と話していると何故だか何時もより感情的になるような気がして、明るく感受性も豊かだろう少年に感化されているのだと実感する。
└ちょっと否定するところが可愛いくて。

……勝手にしろ。(どうせ、そう長いことを共にするわけじゃあるまい。との言葉が続くことはなかった。少年の記憶が戻るまで、或いは領主が少年を探し出すまで。猶予はともあれ、男が今まで生きてきた時間を思えばほんの僅かな時間と思えばこそ、少年の行動を必要以上に制限するつもりはなかった。それだけの事で、他意はない。筈だけれど、振り向いた嬉しげな表情が曇らなければいいとも、確かに思っていた。)

「いち、にい、さん………なあ、ずっと動いてんのなんてだれが数えてんの?そいつ眠んねえの?」
└この発想がサンクくんならではだなあと微笑ましくも感心しました。

「ずっと数えてるわけじゃねェよ、…あれこれ計算して大体こんなもんかって結論付けてるだけさ。ただ、心臓は休まずずっと動いてんだから、無駄に急かしてやんなってことだ。疲れちまうだろ?」
└ラサロさんの先生はお医者さま寄りのそれなのですが、ここでの一言のようにサンクくんの主張を否定するのではなく分かりやすく伝えてくださる様子がとても、人に何かを教える方の先生っぽいなあと思います。



Lennart & Linaria

(普段ふたりで過ごしているリビングのソファで寛いでいたレナートは微笑みながら挨拶を返して、その直後にまんまると目を見開く事となる。使い魔に向けて緩く持ち上げられた口角は初めて見るものだ。驚愕に満ちた表情のまま口を開く。)……リ、リナリア…?どうしたの、笑ったりして…。………ね、ねえ……もしかして、…なにか思い出したの……?(今まで無表情とも言うべきであったのに、突然笑顔をつくるなんて。頭に過ぎったのは"まさか"という思い。他の誰の事も知らなくて良い。思い出さなくて良い。その翠玉が映すのは自分だけで良い。――そんな独占欲を抱えた男の吐き出す声は、震えていた。)
└こういったところにも表れ始めていたんでしょうか
└他の魔法使いと対照的なリアクションなのがすごく印象的でした。

…はい。ぼくも、思い出したいとか、思わないです。(「思い出したら領主さまのところへ戻されるの?」――こうしてまた言葉に出来ない言葉がひとつずつ心に仕舞われていく。彼に捨てられたくないから。嫌われるのは怖いから。今の関係を壊してしまわない様に、声に出すのは何の棘にもならないような、ごくありふれた無難なものだけ。彼の後を追いかけるのは、少し時間を置いてから。近付きすぎると、遠ざかったときが怖いから。臆病者の少年の心は、小さく丸まって、誰にも見せないように)

……そんな子どもっぽい遊びはしたくないです。それに……(そのまま言葉を続けようか、一瞬躊躇する。笑みを浮かべたままの彼をちらりと見遣ればすぐに目を逸らして、手の中のカップの中で揺れるミルクを見つめる。小さな声で「レナートさま、絵がへたくそでした」と呟いたのは、なんとなく、そうなんとなくだけれど、他の子どもたちを可愛い可愛いと連呼していたのが気に入らなかったから。いつかの回覧板に描かれていたリスの絵を思い出したなら拗ねたような音色で、自分の絵心の無さは遠くに投げ捨てておいてそんな捻くれたことを言う)
└リナリアくんが!やきもち!!かわいい!!!
└可愛いヤキモチに背後は爆発しました。

「ちぇっ、つれないんだから…。」
└唇を尖らせるレナートさんがとんでもなくかわいいです。



Ruska & Lucht

おい。おい起きろ!おきて!(落下したものはそのままに、小走りでベッドで寝ている魔法使いの元に近付けば、先ずは身体をゆさゆさ。それでも起きなければベッドの上に乗ってジャンプすることだろう。興奮冷めやらぬと言った様子で互いの顔の距離をぎゅっと縮めて、)……少し思い出したんだ。記憶を。
└テンションが上がってる姿が可愛らしいです。

………ひみつだ。ないしょだ。おしえてなんかあげないね。(片付けを手伝ってくれている男の手元を、所作を、なんとなしに眺めながら拗ねた態度を取り続けるつもりか、唇をへの字に曲げた。)
└この言い方がたまりません。

「不満をあげて欲しいのかい?…違うだろう?」
└セカンドイベントのタイトル会話はおふたりの関係がよく表れていてとても好きなのですが、ここでのルスカさんの一言には特にルフトゥくんの扱いがお上手だなあと思わされました。

「―…ま、僕もアンタもいいトシだからね、そうここは、おんびんにすませようじゃないか。(先程まであんなに肩をふるわせて怒っていたのに、今ではすっかり大人ぶった対応を見せる天邪鬼である。ちいさな胸を張って、つんとお澄まし顔を作ったのなら、」
└この大人ぶってみせる仕草が小憎らしくて、でも可愛らしい。美しいってお得ですね。

さあ、私の存在の意味なんて私だって分からない。……私はできれば魔法使いにはなりたくなかったよ。君と交代できれば良かったな。身軽だから空も飛べるかもしれないし、竜を従わせるのも…努力次第ではあり得るかもしれない。(少年が不意に紡ぐ言葉は他意がないだけに時に鋭い。魔法使いの存在意義なんてこちらが教えて欲しいものだ。もう魔法使いと呼ばれて久しいのに、未だにそれから逃げようと人目を避けて魔法を遠ざけて過ごす日々。時間が過ぎるのをただ待っているこの日常に、本当の意味なんてないのだ。)
└すごく切ないなあと感じまして。

…………いい場所だな。きれいだ。――…オッサンはいつもここで仕事をしているのか。(何故だろう、美しい光景に涙腺が緩くなる。母が恋しいと胸中でつぶやく日々で、彼が秘密の場所を教えてくれたからだろうか。元々脆い決壊は壊れるのが容易いが、ずびっと優雅じゃない音を立てて鼻を啜ると消え去りそうな声で、感謝の言葉を紡ごう。ちいさくて、たとえ彼の耳に届かなくても、どうか気持ちだけは1gでも届きますように。)
└最後の“1gでも”というのがなんともルフトゥくんらしいさじ加減で、嫌がられるのも承知でかわいいかわいいとポンポンしてしまいたくなります…。