Setting
【ブラーノ王国】
険しい山脈に囲まれた鉄壁の防護を誇る国。肥沃な大地が広がる盆地で、中心に位置するブラーノ城から網目のように広がる領土を国王が武勲をあげた騎士たちに封土するという形で授けた封建国家。だが封土とは名だけで、領主の権限は国王にも匹敵する。要するに、中世ヨーロッパ風な魔法の国。一人しか魔法使いがいない領土もあれば、大きな領土では魔法使いが沢山住んでいる。
【ノースウィンド領】
何十人もの魔法使いを抱える広大な領土の一つ。魔法使いと隷属の少年の魔法使いも、ノースウィンド領の為に尽くす代わりに、安全と給金と信頼を貰って平和に生きている。ノースウィンド城という国王が住む城にも匹敵する巨大な城のまわりに城下町が広がり、更に外側には田畑、森と続いている。活気あふれる豊かな領地だが、城下町の一角にはスラム街が広がり、石造りの美しい城下町にはどこか影がさしている。
【ノースウィンド領主】
ウァルギウス・ノースウィンド。巧みな手腕で広い領土を収めている名君として他の領地にも名高いが、彼の唯一の悪癖として噂されるのが奴隷使いの粗さが指摘される。老若男女問わず手を出された奴隷は数知れず、肉体的にも精神的にも彼の奴隷は破壊の限りを尽くされている。若者に対しては手が進まないのか、若者は買い出し等の簡単な仕事に従事しており比較的優遇されている者が多い。逃亡を試みた奴隷に対して非道で、今までに何十人もの命が奪われているという噂もまことしやかに語られている。
【魔法使い】
本気を出せば場所の転移もでき、炎も水も出せるが、あまり本気を出すと自分の命を使うので、普段は無理をせずに医者の真似事をして暮らしている。人を生き返らせたりちぎれた腕を再生させるような大きなことはせず、ちょっとした病気やちょっとした怪我を簡単に治す、ちょっとした便利屋さん。町の人からは崇拝の対象として扱われている。奴隷の印を付けることのような魔法使いにしかできない仕事があるため、領主から寵愛を受けている魔法使いも多くいる。数万人に一人の確率で生まれると言われている魔力の持つ子どもは、魔法使いに引き取られ育てられる。独り立ちするのはおおよそ生まれてから100年程経った後。全員もれなく長寿で、数百年生きている者がいるのは勿論、千年以上生きている長老もいるらしいが、身体能力は人間と変わらない為、多勢に無勢で簡単に死ぬ。昔魔女狩りを企てた領主がいるが、その時に魔法使いが激減してしまった程度には弱い。
【魔法使い同士の交流】
魔法使いは動物に言伝を頼んでよく交流をしている。魔法使いと云え魔力を持っているだけの人間に過ぎないので、流行病や戦乱の情報をいち早く掴むことを目的としているらしい。情報収集も魔法使いの仕事の一つで、領主に仕えてスパイ活動をする魔法使いも中にはいる。
【魔法の使い方】
特別なことを必要とせず、念じれば使える。それらしい呪文を使ってそれらしい杖をふるう変わり者もいるらしい。
【奴隷制度】
ブラーノ国では奴隷制度が当然のように存在する。奴隷となるのは生まれつき奴隷の身分の者と、財産をすべてなくしてしまってその身を質に入れた者。奴隷と奴隷の子どもは奴隷となる。奴隷には身体のどこかに魔法の印を付けられており、その印の家紋を持つ人には逆らえないようになっている。つまり家紋を持つような貴族にしか奴隷を所有することはできない。現在最大量の奴隷を所持しているのはノースウィンド領主。もちろん奴隷制度を支えるのも魔法使いの仕事の一つで、納得している者が大半。