――太陽に愛され、水の女神の祝福を受けた国のおはなし。

この国においては珍しくも無い、灼熱の日であった。
奴隷ですら身を隠す強大な太陽が砂を焼き、目もくらむほどの太陽のなか。
“其れ”は、まるで命無きもののように、物言わぬ人形のような様相で投げ出されていた。

「あなたさまの、お気に召しましたか?」

黒衣の商人が甘く囁く。スカイ・ストーンの双眸が笑った。

「ふふふ……さすが、お目が高うございますね。其れは、うしなわれた国の遺物。舶来の品、白磁の奴隷でございます。……うつくしいでしょう?」

力なく投げ出された肉体。粗末な衣をまとい、酷な日の下に投げ出された混じり気のない一色。
白砂漠のそれよりもなおましろく、太陽の祝福を受けぬ異物。
まぶたの奥に焼き付いたのは、砂漠を焼く太陽の色ではなく。
無機質な白皙、いっそ痛々しいほどの――白。

物語に登場する主な登場人物はふたつの異なる立場の者たちです。
一方は国をうしない、奴隷に身を窶した白磁の奴隷
もう一方は、かの奴隷に魅入られ、購入に至った褐色の男
ふたりの立場は恋人ではありません。思い合う仲でも、対等の立場ですらありません。
奴隷に人権のようなものはありませんし、あるじは奴隷に対する理不尽なおこないがゆるされています。
そのような彼らが紡ぐ、独占欲や所有欲をこじらせた物語。それが当サイトが見たいと願うものです。
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