羽ヶ崎学園に「天才科学者」がいるという噂が広まっている。その噂の対象となるは科学の教師若王子という男なのだが、未だ噂の真相は謎のまま。それは物柔らかな顔ばせに描く笑みを絶やさぬ彼は噂の名とも教師としての威厳も果たして持っているのか。と疑惑持ちの雰囲気は外面だけではなく内面からも滲み出て昼行灯の言葉が似合ってしまう。また流行に乗り遅れぬ姿勢があれど、偶に時代遅れな発言や自然な物言いは生徒たちに取っては親しみやすさを覚えたりもする。しかし、行灯は気づかぬとき本来の輝きを魅せるのか、噂の名に分相応の相貌が見られるときもある。だから噂は謎を残したままいつまでも灯火が吹き消されないのだ。