どこからともなく時代錯誤な高笑いが聞こえたならば近隣には間違いなくこの女がいる。与太話を好む祖父曰く故眉唾にすぎないが、先祖代々武家の血を継ぐらしい家に生まれ落ち、男兄弟と変わらぬ教育を受けてきた喜屋武は、大和撫子とは程遠く、そして歪んだ男勝りに育った。高笑いする声はお嬢様よりもむしろ魔王じみて、身振り手振りやリアクションは演技がかって大仰、けれども本人は真剣極まりない。なぜこうなったのかといえば本人の気質と教育の賜物と言う他ないだろう。意外なほど成績が良く、運動神経もいいが、有り余るほど残念なためほとんど印象には残らない。大らかが行き過ぎて大雑把なきらいがあり、ポンコツといって差し支えない。