あらゆる美への信奉者である西東いつみの視界は「美しいもの」と「美しくないもの」に二分されている。同時に美しいものは手元に留めて隠してしまうより、公共財産として広く讃えられるべきだと言い募る「あなたの美もわたしの美」論者。書道の大家に生まれ、箸よりも多く筆を執ってきた。気性は穏やかで鷹揚。授業態度も素行も至って真面目だが、筆圧オバケで硬筆が壊滅的にヘタクソ。人に読ませる文字を書こうとすると恐ろしく遅筆になってしまうため、成績はなかなかに低空飛行。美しい判定も独自基準で理解を得られないこともあるが、特にエログロホラー系映画はまったく同好の士を見つけられず肩を落とす日々。