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巽圭一郎&花鳥錦月歩
--- ** 2019/01/23 (Wed) 02:31 |
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花鳥錦家は巽家の昔からの御贔屓筋のため、家同士の付き合いがある。ふたりは気心知れた昔馴染み、いわゆる幼馴染だ。巽は、かつて花鳥錦をひそかに兄のように感じていた時期もあったが、性癖開花後は……。互いに食事の好みが合うために、ふたりだけで食事をすることもままあるようである。関係は概ね良好だと推察される。 | |
圭一郎、『月蜜亭』の豆大福を土産に買ってきた。茶はあるか。
花鳥錦月歩 ** 2019/01/24 (Thu) 15:26 |
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おはよう。朝から精が出るな香坂。(柔道場に向かう途中、新聞部部長との突然の邂逅を果たした花鳥錦は不遜な言い方にも緩やかに笑って対応する。彼とは同じ部長として顔を合わせる機会も多く其れなりに親しい仲ではあるから、朝の穏やかな談笑程度は挨拶の内だ。)特集か、此処は宝の山だからな。大した話の種にもならんと思うが何が訊きたい?(尋ねると思いの外誰もが知っていそうな有名人物についてであった。眼鏡の淵を人差し指で触り、考える素振りを見せる。)ほう。圭一郎に焦点を当てるならば記事は上手く書けよ。学園だけで無く世間体にも影響を及ぼし兼ねんからな。(幼馴染の為に釘は挿しておく。何せ「巽圭一郎の顔を知らぬ者はジャングル在住」と言われる程、近年マスメディアから引っ張りだこの男なのだ。)花鳥錦は先祖代々、巽の歌舞伎の常連兼支援者だったらしい。今日の花鳥錦と巽の繋がりも其の名残だ。(男のメモのペースに合わせて一息付き、「続けるぞ」と声を掛ける気遣いを忘れない花鳥錦である。)そんな経緯で昔から圭一郎は私にとって幼馴染という身近な存在だった。歌舞伎の世界は狭いが故に厳しいが、あの女顔に秘めた熱き漢の魂は好ましい。(ニヤついている男のかんばせに対し呆れた物言いで「尊敬の意味で、だ。」と付け足した。言いたい事は山とあるが今回は勘弁してやろう。)学年は違うが昼食を共にする事もある。後は…(眼鏡の淵から指先を顎に持って来ると、首を捻る。ひとつ、幼馴染に関して思う事があったのだ。)幼い頃と近年では私に対する態度が何処となく変わった気が、する。……む。まさか、何時ぞや見られたか?(幼少期と今との違いは己の秘めたる”性癖”しか無い。今度訊いてみるかと内に話題をしまい、目の前の男には爽やかフレッシュな笑顔で誤魔化す。)今はヒメを巡ってのライバルでもあると聞く、正々堂々戦いたいものだ。では私は朝稽古があるので此れにて。(ヒメへのアプローチ、楽園部の監視、時には肉体で優劣を決めるどんぱちとすべき事は山積みである。良い記事が出来る事を祈ってその場を後にしよう――良くも悪くも表向きは真面目なのだ。) | |
わお、さすがは月歩。せっかくだもの、ぼくが一服点てましょう。
巽圭一郎 ** 2019/01/26 (Sat) 00:10 |
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(朝の校内。斜め後ろから呼びかけられると、足を止めて振り返った。聞き覚えのある声だ。カメラ映りを意識しよう。)――ああ、おはようございます。香坂先輩。先日はどうも。ええ、新聞部のみなさん総出で観に来てくださって、うちの番頭もえらく喜んでいましたよ。(そんなごあいさつ。礼状はすでに出してはいるものの、こうして直接、言葉で伝えることも肝要である。これからの時代、一見さんも大事なお客。)ふふふ。といっても、ぼくからお話しできることといえば、次の演目のことくらいで……、……? 花鳥錦先輩?(公私を分けるというのか、学園内ではその家名を口にする。不思議そうに首をかしげた。)ええ。ご存知のとおり、花鳥錦の厚い支援のもと、巽の……いえ、市松宗家の歌舞伎は代々続いてまいりましたから。その縁で、幼い頃からなにかと仲良くお付き合いさせていただいています。互いの家を行き来したり、……ああ、ほら、あちらは粽がお好きで、ぼくは豆大福が好きだから。ほかにも好みがよく合うので、いまでもときどきお食事をご一緒させていただくことがありますよ。(そういう話題をひとしきり続けたのち、ふと思い出したように、ほっそりした顎先を人差し指でつと撫ぜて。)そういえば……このところ、柔道部は風紀委員さながらのお振る舞いもなさるとか。そうそう、以前あったでしょう。楽園部とやりあった件。規律ただしいあの人らしい。(おかしげに笑みを深めれば、メモをとる相手が顔を上げる。「なるほど~、巽くんにとってはお兄さんみたいな存在なんですね。」瞬間ぴたりと指先が止まりかけたが、その仕草とて長い付き合いでなければ看破しえぬささやかさだ。)いえいえ。ぼくのような若輩者にはおそれ多い。(月歩にいさん――そう呼んでみようと考えたこともあった、幼少のみぎり。たまたま訪ねた花鳥錦邸にて覗き見てしまった情事の衝撃たるや、その見方も変わろうというものだ。)でも、そうですね。いまは負けられない存在です。(姫路輝夜をめぐるライバル。辞去もそこそこにすっ飛んでゆく背を見送ると、にこやかな表情は一転。ああ、忌々しい! 今日も学園に木霊するのは仇の名。) |