鷹揚な微笑みを浮かべ、乙女の規範たらんと優雅に振舞うこの乙女。太陽を浴び、きらきらと輝く大きな黄金の縦ロールも可憐なばかりのうつくしい少女ではあるが、彼女は実に神出鬼没で常に謎めいている。花椿吾郎の姪であるとのことだが正確なデータはなく、しかし血縁を裏打ちするが如く的確なファッションチェックとアドバイスをしては乙女のもとを去ってゆく。彼女が果たしていくつであるのか誰も知らないが、『カメリア倶楽部』に集う乙女たちは後を絶たず、彼女もまた卒業と共に姿を消すことなく真の乙女を探し続けている。誰もが知っているが誰も知らぬ存在。永遠のヴェールに包まれたうつくしき花。それが花椿姫子なのだ。(292文字)