敷かれたレールを真っ直ぐ歩いてくるばかりの人生だった。超がつく程クソ真面目な公務員家庭で育った十数年。高校入学と共に始まった寮生活を切欠に、内に秘めた欲望が抑圧された青春を取り戻さんと加速したのは当然の結末だったろう。一年時から枷の外れ始めた欲望は此度の大学進学決定と部活引退という条件が揃ったのを皮切りに、いよいよ本格的に開花の兆しを見せ始めた。目指せ月9を掲げる恋活モンスターと化した女は、来るべき出会いに備えて今日もあらゆるメディアからの情報収集に全力である。とはいえ生真面目さは既に血に染みついており、時折顔を見せる優等生面はあと一歩を踏み出す勇気に欠けた小心者の証ともいえよう。