嫌味なつもりは一つもない。意識してもいないのだからどうしようもない。けれど汐見は昔から、何をするにも人より少しばかり抜きん出てしまう星のもとに生まれていた。教科書を一度読むだけで何となく法則性が掴めてしまう。先生のプレーをなぞるだけで何となくおんなじことが出来てしまう。特別努力をせずとも平均以上の結果を残してしまう汐見は、一生懸命に打ち込むといった経験が殊更に乏しい。故に主体性もぺらぺらで、嶺鈴学校への入学もエスカレーター式なら進学が楽だという両親の意向にそって、たまたま特待枠を通過してしまっただけのこと。小学時はバスケ、中学時はバレー、高校時はテニスと誘われるが儘にふらついた結果が今に至る。